2023年12月04日
今では当たり前のように、業種を問わずマーケティングを行っています。
ただ、冷静に
「マーケティングとは何をするものか?」
という問いが仮にあった場合、ある程度詳しく解説できる方は少ないかもしれません。
そもそも、マーケティングそのものには数多くの種類、特性があるため、一言では語り切れないくらいの情報量がたくさんあります。
そこで今回は『マーケティングとは何をするもの?何に役立つ?起源・歴史・基礎を勉強しよう!』と題して、まずは初手としてマーケティングの起源や歴史から知り、基本的なマーケティング方法を覚えましょう!
目次
マーケティングとは簡単に説明すると、自社の商品・サービスが売れる仕組みづくりです。
このマーケティングがいつ誕生し、現代でも販売戦略を計画する際に活用されているのか、考えたことはあるでしょうか?
この段落では、マーケティングの起源、歴史について解説します。
マーケティングの起源は、19世紀ごろのアメリカとされています。
理由としては、アメリカは商品を販売するうえで、イギリスとは環境が違っていたためです。
イギリスでは18世紀から19世紀ごろ、産業革命が起こりました。
綿工業では手工業だったものが機械化されたり、蒸気機関を活用した機械制工場になるなど、これらが影響し商品の大量生産が可能となりました。
さらにイギリスの場合、植民地を多数有していたため自国以外での販売経路ももっていました。
そのほかでは原料の生産地としても植民地を使っていました。
一方でアメリカは植民地を有していなかったので、大量生産された商品は自国で販売するしか方法がありませんでした。
そのため、経営を困難にさせないためにも不良在庫を持たないよう、無駄のない販売方法を考えないといけないために、マーケティングという概念が誕生したとされています。
マーケティングの概念が誕生したアメリカでは以降、マーケティングが発展していきます。
アメリカ国内の大学ではマーケティングを科目の1つとして開講したり、定義付けのためにアメリカ・マーケティング協会(1937年)が設立されました。
また、あらゆる人物がさまざまなマーケティングを提唱するようになり、1969年にはフィリップ・コトラー氏(※後述の『コトラー氏が提唱するマーケティング』で解説)とS.Jレビィ氏によって「マーケティング概念拡張論」が提唱されます。
マーケティングの起源は、江戸時代の日本であると唱える人がいます。
それはユダヤ系オーストリア人の経営学者で「経営の神様」といわれたピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏です。
ドラッカー氏いわく、三越の前身である三井越後屋呉服店(1650年)がマーケティングを実践していたとしています。
日本がマーケティングの起源であることはコトラー氏も著書内で、ドラッカー氏の書籍から引用しています。
マーケティングの起源とは別に、日本にマーケティングの概念が認知された時期について説明します。
第二次世界大戦後、テレビを中心としたマスメディアがアメリカで発達し、マス・マーケティングが進化していきます。
この時期に、日本でマーケティングの概念が知られだします。
1955年ごろには、当時の東芝の社長で財団法人(現:公益財団法人)日本生産性本部の米国視察団の団長・石坂泰三氏がマーケティングの必要性を話したことがきっかけとされています。
フィリップ・コトラー氏
フィリップ・コトラー氏とは、マーケティングに関連するPEST分析やSTP理論のほか、6P理論、7P理論で有名なアメリカの経済学者です。
時代が流れるとともにマーケティングの移り変わりを、具体的に説明した功績が大きいことから
といわれています。
そんなコトラー氏の代表的なマーケティングに関する理論として、「マーケティング1.0〜5.0」について解説します。
マーケティング1.0とは「製品中心のマーケティング」の時代(1900年~1960年ごろ)としています。
この時代は商品の大量生産、大量消費を迎えます。
そのため、考え方としては「大量生産で製造コストを下げて商品値段をより安価にし、購入するユーザーを増やす」というマーケティングを行う必要がありました。
マーケティング1.0は、ユーザーよりも企業が優位な立場だったといえます。
マーケティング2.0は「消費者志向のマーケティング」の時代(1970年代~1980年代)としています。
技術が発展したことで商品の大量生産が可能となり、安価で提供できる一方、市場に同じような機能、性能をもつ商品が多数、出回るようになって価格競争が加速します。
ユーザー側は類似品から選んで購入する形となるため、機能、性能のアピールだけでは売れない時代に入っていきます。
そのため、企業が優位に立っていた時代は終わり、ユーザー主導へと変わっていきます。
企業側は安価に商品販売するだけでなく、ユーザーが商品に対して何を求めているかのニーズを知り、応え、顧客満足度の高いものを開発する必要がでてきました。
マーケティング3.0は「人間志向(または価値主義)」の時代(1990年代~2000年代)としています。
ユーザーは商品を選ぶ際に機能、性能、顧客満足度だけでなく、企業側が社会的責任を果たしているかも、選択するときの項目の一つとしはじめます。
背景としては、環境問題や金融危機による格差などあらゆる社会問題が深刻化していき、企業側はそれら問題に対して企業なりに、商品などを通して良い影響を与えることができるかが、求められるようになります。
そのため、ユーザーは商品などを買う際に
「買うことで環境に良い」
「購入することで誰かに貢献できる」
といった精神面で満足感が得られる価値を求めるようになります。
例えば企業側は、「環境配慮」などを加味した商品づくりをして、社会的責任を果たしていることをブランドの一つとしてアピールすることで、ユーザー心理を満たすようになります。
マーケティング4.0は「自己実現」の時代(2010年代)としています。
自己実現とはユーザーが商品を購入するだけでなく、買うことで「理想の自分」に近づきたいという、精神的欲求(または価値)を満たすことを意味します。
この時期に入るとSNSが普及したことで、ユーザーは商品購入の検討材料に、企業の広告宣伝よりも、ユーザー間のレビューや口コミを重視するようになります。
企業側は、ユーザーの精神的欲求が満たせるよう、どこまで寄り添える提案ができるかが重要になっていきました。
精神的欲求を満たしてあげることができれば、ユーザーは商品に関する情報をSNSなどを通じて発信してくれて、新しいユーザーを増やすことができます。
コトラー氏は新たに2021年、マーケティング5.0を発表しました。
マーケティング5.0は
「人間を模倣した技術を使って、カスタマー・ジャーニー(※)の全行程で
価値を生み出し、伝え、提供し、高めること」
(参考:フィリップ・コトラーら「コトラーのマーケティング5.0 デジタル・テクノロジー時代の革新戦略」 (2022))
としています。
つまりは最新テクノロジーを使った、顧客体験価値を高める時代としています。
可能な限り、最新テクノロジー(デジタル)としてビックデータ、AI(人工知能)、IoT(モノとインターネット)をマーケティングに活用しながら、人間(人間中心)にしか理解できないユーザー心理や価値観などは人間が行うという、テクノロジーと人間が協力する必要があるということです。
このデジタルと人間中心の共生が、人間模倣技術となります。
※カスタマー・ジャーニー
製品を知り購入し、購入後の利用や再購入までの意思決定の意。
マーケティング1.0~5.0には、それぞれフレームワークが提唱されています。
以下が、各マーケティングごとのフレームワークです。
マーケティング1.0では「4P分析」というフレームワークがあります。
し、販売するか
という考え方のフレームワークとなります。
マーケティング1.0の時代は製品中心のマーケティングなので、製品(Product)といくら (Price)が重要な要素といわれていました。
生産した商品をいくらで販売するかを調整してどこで宣伝するかで、自社の利益を最大化します。
マーケティング2.0では「STP分析」というフレームワークがあります。
ユーザーが満足する商品を作るためにも、
市場のニーズ細分化(Segmentation)して、自社が狙うべき市場を設定(Targeting)し、他社よりも付加価値のあるものを生産し抜きんでるか、
あるいは
未開拓の市場に参入することで、自社の立ち位置を明確化(Positioning)する
という考え方のフレームワークとなります。
このSTP分析は、現代でも使用されるフレームワークです。
マーケティング3.0では「3iモデル」というフレームワークがあります。
このフレームワークは、ポジショニング、ブランド、差別化の3つの側面と、3つのiである
から構成されております。
この3つの側面と3つのiを用いて自社のマーケティングを評価し、バランス良く要素を取り入れられるように目指すものです。
マーケティング4.0では「5a理論」というフレームワークがあります。
5つのaは、
から成り立っています。
SNS時代に突入したため、企業はユーザーが商品を買った後の行動も考えなければいけなくなりました。
サイクルとしては、
認知訴求調査行動奨励
を繰り返す流れとなります。
具体的にいうと、宣伝活動やレビューなどで商品を認知してもらい、ユーザーは商品に対して本当に必要かどうかを訴求して、商品の魅力を感じたらその商品に対して情報を得る調査をし、魅了されたら購入するという行動に移り、商品を気に行ったユーザーは他者へ推奨する、というループになります。
この過程にふさわしいマーケティングを行うべき、というのが5a理論の考え方です。
マーケティング5.0では「5つの要素」として2つの組織としての規律、3つのアプリケーションを軸とした、フレームワークを提唱しています。
組織としての2つの「規律」
3つの「アプリケーション」
『マーケティング歴史②日本での誕生が起源とする説』でも解説したとおり、ドラッカー氏がいうには、三井越後屋呉服店が実践したマーケティングが最古のものとされています。
この三越の前身である三井越後屋呉服店は、江戸時代に三井高利(1622年〜1694年)が呉服街の本町に出した小さなお店でした。
当時の呉服店の販売方法は、得意先へ訪問して商品販売する「屋敷売り」と注文を尋ねたあとに商品を持っていく「見世物商い」といった方法が一般的でした。
そんななか、三井高利はあらゆる戦略を考案していきます。
以下が、三井高利が考えたものとなります。
先にも記述したとおり、三井越後屋呉服店が販売戦略を打ち出す前の呉服店は、屋敷売りといって取引先に訪問して商品を売るのが当たり前でした。
また、金銭のやり取りも後払いで盆と暮の2回払い、あるいは12月の1回払いが通常でした。
後払いをしていたため場合によっては、貸倒、金利が膨れ上がって回収できないリスクもあったため、呉服屋は資金の回転の悪さが課題となっていました。
三井越後屋呉服店の場合は、店舗で商品を販売する際に「正札」という値札を付けて、現金取引にしました。
こうすることで、後払いのリスクを考えて上乗せしていた掛値の分を引き、定価で商品を提供できるようになりました。
三井越後屋呉服店では、お店を設けて顧客に対して対面で商品を提案する「店前売り」を採用しました。
対面式で販売可能なため、顧客の予算、要望、好みに応じた商品を提案するため、顧客はたくさんの商品を比較しながら買うことが可能となりました。
また、顧客に来店してもらい商品を提案するだけでなく、コミュニケーションをはかることができるため、信頼度が高まり優良顧客が獲得しやすくなりました。
顧客が欲しいだけの反物を切り取って販売する「切売り」も実施しました。
顧客は反物を一反単位で買うため、子ども用に仕立てるなど状況によっては、布地が余ってしまうことがありました。
しかし、布地を切売りすることで、
顧客は用途に合わせた量が買えるだけでなく、コストをおさえることができました。
この戦略により、女性客(主に母親)や子どもそのものが顧客となり、新たなニーズを獲得しました。
三井越後屋呉服店の登場以前は、顧客は呉服屋で反物を購入して、仕立て屋で着物を作ってもらう必要がありました。
しかし、三井越後屋呉服店は、反物の販売だけでなく仕立ても行う「仕立て売り」も実施したため、顧客は時間と労力を節約できました。
現代でいうところのカスタムメイド、オーダーメイドの先駆けとなります。
三井越後屋呉服店は、認知度を高めるために丸に井桁が入った屋号を作成し、看板や店内、のれん、風呂敷などに印刷し、顧客の目にとまるようにしました。
ブランドイメージを印象付けるだけでなく、信頼がおけるという品質保証の役割もしていました。
三井越後屋呉服店は広告宣伝として「引札」というチラシの配布をしていました。
チラシには「正札現金掛け値なし」を訴えかける内容のもので、江戸で配布したことにより売り上げアップにつながったといわれています。
三井越後屋呉服店では開店中に雨が降ると、屋号が描かれた番傘を顧客や通行人に貸し出しました。
番傘を貸し出すことで、江戸の街中は三井越後屋呉服店の屋号でいっぱいになり、認知度を高めました。
低価格で仕入れて薄利多売で商品を提供するためにも、三井越後屋呉服店は布地を仕入れる際に仲介(問屋など)を省く「買宿」を生産地に定めました。
買宿には現地の問屋、仲介人、有力な商人を指名します。
仕入資金を前貸しして注文に応じた商品を仕入れさせて、江戸と大阪にある販売店に送っていました。
ここまでマーケティングの起源や歴史、概念について解説してきました。
マーケティングにはたくさんの種類がありますが、当社はメール配信システムを提供している企業なので、ここではインターネットに特化したマーケティングの代表例として「WEBマーケティング」について解説します。
WEBマーケティングとは?
WEBマーケティングとは簡単に解説すると、SEOやWEB広告、SNS、Eメールなどを活用し、自社のWEBサイトにユーザーを集客して、商品・サービスを購入してもらう仕組み作りを指します。
主にWEBマーケティングの仕事内容は
主なWEBマーケティング
とされています。
集客施策は、SEO(検索エンジン最適化)、ソーシャルメディア対策、リスティング広告(検索連動型広告)、SNS広告、アドネットワークを活用して、自社のWEBサイトへ集客するものです。
一例をあげるとSEO対策の場合、検索エンジンであるGoogleやYahoo!の検索結果上位に、自社のWEBサイトが表示されるようにして、検索エンジンを介して流入アップを目指します。
接客施策は、対面での接客ができない分、自社のWEBサイトを使いやすいものにして、顧客満足度を高め、最終的なコンバージョン(購入などの成果)につなげるものです。
使いやすいWEBサイトを目指すには、LPO(ランディングページ最適化)、EFO(エントリーフォーム最適化)があります。
LPOは、ユーザーが検索エンジンなどを介して、最初に訪れるページを意味します。
離脱を防いだり、コンバージョン数アップを目指すためにも、ページのデザイン、レイアウトは使いやすいものにする必要があります。
EFOの場合は、問い合わせなどに使用されるフォームの利用頻度を向上させるために、改善策を講じるものです。
適度な入力項目を目指すなどして、ユーザーの途中離脱を防ぎます。
再訪問の促進は、一度、自社のWEBサイトに訪れたユーザーに再び訪れてもらうために、リターゲティング広告、メールマーケティングなどを行います。
一例をあげるとメールマーケティングの場合
の方法があります。
それぞれのメールマーケティングを行った場合どんなことが起こるかを解説すると
メールマーケティング
となり、ユーザーの自社のWEBサイトへの再訪問を促します。
メールマーケティングの歴史をひも解くとともに、今後のトレンドについてはこちら
効果測定は、集客施策、接客施策、再訪問の促進を行ったあとに、これまでの施策が効果的だったかを計測し、傾向と対策を立てるものです。
Google Analytics(アナリティクス)という効果測定では、自社のWEBサイトにどれだけのユーザーが訪れたか、特定のページがどれだけ見られたか、コンバージョン数を測定します。
もう一つの効果測定であるGoogle Search Console(サーチコンソール)は、検索エンジン内にWEBサイト内のページが何回表示されたか、何回クリックされたかなどを測定します。
Webマーケティングの販売促進や集客についてはこちら
『顧客と販売側の関係を保持(再訪問の促進)』の段落でも解説したとおり、自社のWEBサイトへ再訪問してもらう施策として、メールマーケティングは最適な方法の一つといえます。
その施策のお手伝いをできるのが、当社が提供するメール配信システム・コンビーズメールプラス(Combz Mail PLUS)です。
コンビーズメールプラスには機能として、メルマガの一斉配信、セグメント配信、ステップメールを施策として実施することができます。
あらゆるメールマーケティングを行うことができるため、さまざまなアプローチをユーザーにかけることが可能です。
Combz Mail PLUS
コンビーズメールプラスでは、顧客の予算にマッチするようにさまざまな料金プランを用意しています。
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また、いきなり有料版を使うことに抵抗がある方には、無料で30日間使用感を試すことができる「無料トライアル」もあります。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
マーケティングが誕生した国を調べると、少なくとも日本が起源だった場合、この概念は300年以上前からあることになります。
いかに歴史の古い施策であるかがわかります。
そんなマーケティングも時代とともに進化し、フィリップ・コトラー氏によれば、現代はマーケティング5.0へ突入しているとしています。
ただ、必ずしも提唱されているマーケティングが、どの業種にもマッチするとは限りません。
自社に最もマッチするマーケティングを見つけ出すためにも、一つの考え方にとらわれずに柔軟に対応したほうが良いかもしれません。
今回は『マーケティングとは何をするもの?何に役立つ?起源・歴史・基礎を勉強しよう!』について解説しました。
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