2023年06月30日
メルマガ配信の担当者は、メルマガ配信の後のユーザーの動きなどを分析し、今後のメルマガ配信の成果アップにつなげたいと、考えたことがあるのではないでしょうか?
メルマガ配信の効果を測定する方法としては、大きく分けて2つあり、1つがGoogleが提供する分析ツールGoogle Analyticsと、2つ目がメール配信システムに備わっている分析ツールです。
メルマガ配信の効果測定を実施することで、メルマガ配信そのものの効果や、メルマガ配信を介したコンバージョン数(購入などの成果)を検証することが可能です。
そんなGoogle Analyticsは、「UA(Universal Analytics)」から「GA4(Google Analytics 4)」にバージョンアップし、一部仕様が変更されました。
そこで今回は『GA4(Google Analytics 4)でメルマガ配信の効果測定!使い方を解説』と題し、GA4の使い方、分析に必要な設定、併用としてメール配信システムの分析ツールについても解説します。
目次
メルマガ配信の内容は、主にテキストのみか、画像付きで作成された商品やサービスに関する情報と、それらに関連するWebサイトのリンクではないでしょうか?
普段メルマガを配信していると、開封からWebサイトの閲覧、購入などの成果に対し、メルマガ配信がどれだけ効果的だったか気になるかと思います。
効果を見える化するためには、各施策の成果を数値化して検証する必要があります。そこで役立つのが、Googleが提供する分析ツール・GA4(Google Analytics 4)と、メール配信システムの機能のひとつとして搭載されている分析ツールです。この2つの分析ツールを併用することで、より細かく検証することができます。
GA4とは、Webサイトへのアクセスを分析するためのツールで、Googleが無償で提供しています。GA4に自社のWebサイトを登録すると、そのWebサイトに訪れたユーザーの動向を可視化することができます。
Google Analyticsは2023年7月1日よりバージョンが、UAからGA4へと生まれ変わりました。従来のUAではセッションに視点を当てて分析することを軸に置いていましたが、GA4では一転し、ユーザーにフォーカスして分析することを軸に置くようになりました。
これにより、今まで使えた分析が廃止されたり、定義が変更されたりしました。
以下の表では、廃止されるものと、定義や考え方が変わるものをまとめました。
GA4への移行により、廃止される指標は27項目あります。ここでは、廃止される指標が、GA4で別の呼び名の指標として計測されるかどうかは考慮せずに列挙してみます。
GA4では従来のUAから名称が変更された指標が22項目あります。
GA4で定義などが変わる指標 | |
---|---|
旧 | 新 |
ユーザー | ユーザー数 |
新規ユーザー | 新規ユーザー数 |
直帰率 | エンゲージメントのなかったセッションの割合 |
平均セッション時間 | セッションあたりの平均エンゲージメント時間 |
ヒット数 | イベント数 |
目標の完了数 | コンバージョン |
目標値 | イベントの値 |
コンバージョン率 | セッションのコンバージョン率 |
ページビュー数 | 表示回数 |
平均ページ滞在時間 | 平均エンゲージメント時間 |
exit | 離脱数 |
ランディングページ数 | 閲覧開始数 |
検索回数 | view_search_results |
検索を伴うセッション数 | view_search_results |
合計イベント数 | イベント数 |
イベントの発生したセッション | セッション |
トランザクション数 | eコマース購入数 |
収益 | eコマースの収益 |
平均注文額 | 購入による平均収益 |
内部プロモーションのクリック数 | アイテムプロモーションのクリック数 |
商品がカートに追加された数量 | カートに追加 |
ユーザーあたりの収益 | ユーザーあたりの平均購入収益額 |
ここでは、メルマガ配信の効果測定に役立つ、GA4内での指標について考え方を整理していきます。
UAでの直帰率の考え方は、セッション(訪問)があったWebサイトの1ページ目から、ほかのページに移動せずに、そのまま離脱した割合を数値にしていました。GA4では、直帰率に関しての考え方と算出方法が変更されました。
GA4での直帰率の考え方は「エンゲージメントのなかったセッションの割合」です。
上記の考え方を計算式にすると
総セッション(100%)-エンゲージメント率=直帰率
となります。
一見すると「どういう意味?」なる考え方と算出方法ですね。上記の計算式に使われている各単語の意味を理解すれば、最終的に意味が通りやすくなりますので、ひとつずつ解説していきます。
セッション
セッションとは、一言で表現すると下記のようになります。
ユーザーがWebサイトに訪問して離脱するまでの一連の行動
例えば、あなたがお気に入りのECサイトに訪問した場合、あなたがそのECサイトにアクセスしてから、離脱するまでの行動を一つのまとまりとしてとらえ、それを「1セッション」と計測します。
実店舗で例えると、お店に来店(訪問)し、商品を閲覧(行動)、お店を出る(離脱)となります。
そして、実店舗に1人の顧客が1回来店した状態は、セッションでいうと1人のユーザーが1セッションしたことと、同じ意味になります。
エンゲージメント
エンゲージメントとは、簡潔に言い表すと、このようになります。
Webサイトに訪問したユーザーが行動を起こすこと
GA4では、以下のセッションが発生した場合、エンゲージメントとして扱われます。
エンゲージメントが発生するということは、少しでもそのページに興味を持っていると考えられます。そのため、GA4ではエンゲージメント率を重要視するようになるはずです。エンゲージメント率を確認したい場合は、「レポート→集客→トラフィック獲得」の順に移動します。
最終的な計算
これまでに紹介したセッションとエンゲージメント率を用いると、直帰率を計算できます。
GA4における総セッションの100%は、エンゲージのあったセッション(エンゲージメント率)と、エンゲージのなかったセッション(直帰率)を合算したものです。
仮にエンゲージメント率が65%だった場合、計算式に当てはめると
100%(総セッション)-65%(エンゲージメント率)=35%(直帰率)
となります。
UAでは平均セッション時間だったのが、GA4では考え方が変わり「セッションあたりの平均エンゲージメント時間」となります。
平均値には2つあり
です。
ここから先は、具体的に各平均時間について解説します。
平均エンゲージメント時間
平均エンゲージメント時間とは、ユーザーがWebサイトを閲覧した時間、アプリを実際に使用した時間、を意味します。
ただし、別のタブで他のサイトを閲覧している状態や、前面に表示されていない状態だと、直接閲覧していないため、この時間はカウントされません。
平均エンゲージメント時間の算出方法としては
総エンゲージメント時間÷ユーザー数
となります。
平均エンゲージメント時間は「レポート→集客→ユーザー獲得」の順に移動するとチェックできます。
セッションあたりの平均エンゲージメント時間
セッションあたりの平均エンゲージメント時間とは、1セッションのエンゲージメント時間の平均値を算出したものです。
あえて「セッションあたりの」と限定している理由は、GA4がユーザーにフォーカスした分析を行うようになったためです。
セッションあたりの平均エンゲージメント時間の算出方法としては
エンゲージメントの合計時間÷セッション数
となります。
セッションあたりの平均エンゲージメント時間は「レポート→集客→トラフィック獲得」の順に移動するとチェックできます。
これまで、UAからGA4への移行に伴い、考え方が変わった項目を見てきました。では、メルマガ配信後の効果測定時には、どんな時にどんなレポートを見たらよいのでしょうか。
ユーザーがWebサイトを閲覧するときに使う、デバイスやブラウザなどを確認できます。スマホユーザーの値が少なくなったときなどは、メルマガ本文内がスマホユーザーにとってわかりにくかったり、見にくかったりしているのかもしれません。
GA4での確認方法デバイス別のレポートは「レポート→テクノロジー→ユーザー環境の詳細」の順に移動するとチェックできます。
また、ブラウザ、デバイスカテゴリ、デバイスモデルなど、項目を変更すると確認したいデバイスやブラウザなどの種類を見ることができます。
UAでは、セッションを中心にPV数、直帰率、滞在時間を焦点にし、コンバージョンを計測していました。
GA4では、コンバージョンの計測の考え方は、ユーザーに焦点を当て、そのユーザーの行動や操作(イベント)を指標にしています。
主な計測方法としては
の2つがあります。
まずは、既存のイベントでコンバージョンを計測、について解説します。
設定方法は「管理→イベント」の順にクリックすると、既存のイベント欄が表示されます。
そして、既存のイベント欄からコンバージョンとして計測したいものがある場合は「コンバージョンとしてマークを付ける」をオンにするとできます。
イベントによっては、拡張計測機能が有効でないと計測できないものがありますので、管理メニューのプロパティ列にあるデータストリームのページで、拡張計測機能を有効にしてください。
メルマガ配信におけるコンバージョン設定は、既存のイベントでは不十分かもしれません。自社のサイトのお申し込み完了や購入完了を、コンバージョンとして計測したい方がほとんどだと思います。
それらの設定方法は、次の段落をご覧ください。
次に、新規でイベントを作成してコンバージョンを計測する方法について説明します。
既存のイベント欄にコンバージョンとして計測したい項目がない場合、自ら新規イベントを作成する必要があります。
新規イベントの作成の解説には、コンバージョンの測定で多くの方がよく設定している、サンクスページ(会員登録後などに表示される挨拶文のページ)を例にします。
今回は仮に、問い合わせフォーム入力後に表示される、のサンクスページのURLを「https://〇〇〇.jp/form/thanks」と仮定して、そのページの閲覧をコンバージョンとして設定するための手順を紹介します。
カスタムイベント名を作成
新規イベントを作成する場合「管理→イベント→イベント作成」をクリックします。ここでカスタムイベント名を入力するのですが、どんなコンバージョンなのか、一目でわかるような名前にすることをおすすめします。
一致する条件を作成
次は一致する条件を作成します。
今回のコンバージョンポイントは、特定のページの閲覧回数を計測するため、1行目の項目は
「パラメータ=event_name」「演算子=次に等しい」「値=page_view」
とします。2行目は、https://〇〇〇.jp/form/thanksのページパスである、/thanksを含む全部のページが見られた際に、計測するための設定となります。
入力する内容は
「パラメータ=page_location」「演算子=次を含む」「値=/thanks」
とします。
カスタムイベントをコンバージョンにする
最後は、カスタムイベントをコンバージョンとして設定します。
「管理→イベント」とクリックすると、先ほど作成したカスタムイベントが追加されているので、「コンバージョンとしてマークを付ける」をオンにします。
もし、既存のイベント欄にカスタムイベントが表れないときは「管理→コンバージョン」の順にクリックし、新しいコンバージョンイベントを押します。
「新しいイベント名」という入力フォームが表示されるので、そこにカスタムイベント名を書き込み、保存を押せば対応できます。
既存のイベントや新規イベントのコンバージョンが、実際にどれくらいあったかを確認する方法はいろいろありますが、代表的な方法としては、「レポート→エンゲージメント→コンバージョン」の順にクリックすることで確認できます。
獲得したコンバージョンの流入元が、自然検索(Organic Search)なのかなどを調べたい場合は、「レポート→集客→トラフィック獲得」の順にクリックすることで確認できます。
Google Analyticsでメルマガ配信の効果を測定しようとする場合、パラメータの設定が必要となります。パラメータを生成せずに効果測定すると、「(direct)/(none)」で表示されてしまい、実際にメルマガのURLを経由したのかがわからなくなります。
では、どのようにして、メルマガ経由のコンバージョンであるかを計測するのでしょうか。
パラメータとは変数という意味で、プログラム関係では「システムの外部から渡される数値」を意味します。
計測したいURLの末尾にパラメータをつなぎ合わせることで、Google Analytics上で各パラメータを使ったデータの絞り込みができるようになります。
つなぎ合わせるパラメータは、Googleが提供しているCampaign URL Builder(キャンペーンURLビルダー)を使うことで簡単に生成できます。サイトは海外版しかないため、使用時は日本語翻訳をおすすめします。
生成するとhttps://●●●.com/の末尾にパラメータがつなげられ、https://●●●.com/?〇〇〇というような見た目に変換されます。 この「?〇〇〇」以降がパラメータにあたります。
まず、先ほど紹介したキャンペーンURLビルダーにアクセスし、必要事項を入力します。生成するうえで基本的に必要なのは、WebサイトのURL、キャンペーンソース(utm_source)、キャンペーン媒体(utm_medium)、キャンペーン名(utm_campaign)です。この4つを押さえておくと、最低限の分析が可能になります。
WebサイトのURL
Google Analyticsに登録済みのWebサイトで、メルマガ経由のアクセスとして計測したいURLを入力します。
キャンペーンソース(utm_source)
特定のページに訪れたユーザーが、どこから来たかを特定するために使います。メルマガからの流入を特定したい場合は「mailmagazine」としておくと分かりやすいのでおすすめです。
キャンペーン媒体(utm_medium)
参照元(utm_source)がどんな媒体かを説明する、パラメータであると認識するとわかりやすいでしょう。メルマガであれば「email」としておくことを推奨します。
キャンペーン名(utm_campaign)
どのような施策かを判別するための項目だと思えば、入力に迷わないと思います。年月日を記入すると効果の比較が行えます。
期間限定セールであれば、キャンペーン名に「Limited_sale_20220101」などと書くと分かりやすいです。定期的に配信しているメルマガであれば、年月日の8桁の数字だけでも良いかもしれません。
一連の入力を終えると、URLパラメータが生成されます。実際に、文章内にある参考例を使って作ると、以下のとおりです。
https://●●●.com/?utm_source=mailmagazine&utm_medium=email&utm_campaign=Limited_sale_20220101
GA4で、メルマガに記載したURLパラメータから、どれだけ流入があったかを調べる方法は「レポート→集客→トラフィック獲得」の順にクリックすると確認できます。
メルマガのURLパラメータ経由で流入があった場合、「Email」という項目が追加され、効果を確認できます。
キャンペーンURLビルダーで生成したURLを実際に使ってみましょう。ここでは、実際にメルマガ配信するときに、パラメータ付きURLをどのように使っていくのかを解説します。
文章だけで構成されたメルマガをいつもメール配信している場合、URLパラメータをそのままメール本文に貼り付けると、不格好になってしまうので、HTML(リッチテキスト)に切り替えてください。
HTML(リッチテキスト)であれば、「お申し込みはこちら」のようなテキストに対して、簡単にリンクの作成ができます。URLがそのまま本文に表示されるわけではないので、パラメータが見えることなくすっきりとした本文になります。
リッチテキストメールの操作方法などについてはこちら
バナーなどをメルマガ本文内に設置しているなら、画像に対してリンクを貼ることも可能です。この場合もHTML(リッチテキスト)で作成可能です。
メルマガ本文欄の上のメニューにある、写真アイコンの画像の挿入・編集をクリックします。アップロード画面へ進むと、お手持ちの画像をアップロードできます。
リンクの貼り付け方法については、ヘルプも参考にしてみてくださいね。
HTMLメールエディタを駆使すると、メッセージカードを作ることができます。
HTMLメールエディタは、いくつかのレイアウトを用意しています。画像やテキストをはめ込むだけでもメッセージカードのようなメルマガを作ることができます。
白紙の状態から作りたい場合は、5種類のブロックとしてテキスト、画像、テキスト+画像、画像+テキスト、余白を用意しています。このブロックを組み合わせることで、レイアウトを自在に変更することが可能となります。
エディタの紹介や操作方法、HTMLメールの作り方についてはこちら
開封率やクリック率を見る場合は、GA4で確認することもできますが、メール配信システムに搭載されている分析ツールを使用することをおすすめします。理由としては、GA4に比べると設定が簡単だからです。
※注意
ただし、テキストメールに関しては開封率を計測することができません。
開封率とは、メール配信したメルマガの有効配信数(不配分を除く)のうち、何通のメルマガが開封されたかを数値化したものです。
クリック率とは、有効配信数となったメルマガのうち、テキスト内にあるリンクが、何回クリックされたかを数値化したものです。
詳しい計算方法や、各指標のメリット、デメリットについては下記リンクを参照ください。
効果測定に必要な指標(KPI)と、KPIを活用したPDCAの回し方についてはこちら
開封率とクリック率を確認する方法については、当社が提供するメール配信システム・Combz Mail PLUS(コンビーズメールプラス)に備わっている機能で解説します。
開封率を確認する場合、コンビーズメールプラスにログイン後、「レポート」→「配信数などの推移」をクリックし、表示タイプなどの条件を選択するだけで、配信数と開封率を確認することができます。
詳しくはヘルプを参照してください。
クリック率をチェックする場合は、まずは測定したいリンクを「クリックカウンター」に登録する必要があります。
詳しくはヘルプを参照してください。
テキスト内にあるリンクが、何回クリックされたかを確認する方法としては、コンビーズメールプラスにログイン後、「配信管理」→「配信状況(予約/履歴)」をクリックし、測定結果を確認したいメールの件名をクリックします。
ポップアップで「配信状況(詳細)」の画面が出てきますので、「クリックカウンター」を押すと、クリックカウンターで登録しておいた、リンクのURLとクリック率を見ることができます。
詳しくはヘルプを参照してください。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
GA4を使うと、ユーザーがどこから訪れて特定のWebページに到着したかを分析することができます。
メルマガの開封率やクリック率、直帰率、コンバージョンなどを細かく分析することで、今後のメルマガ配信の傾向と対策に役立てることができます。
URLパラメータを生成すれば、GA4での分析がよりスムーズになるので使わない手はありません。
以上、『GA4(Google Analytics 4)でメルマガ配信の効果測定!使い方を解説』でした。
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コンビーズのサービスをご紹介していただくと、あなたも紹介者さんもおトク
お客様が安心してご利用いただけるようセキュリティ対策もバッチリ。第三者認証であるISMS(ISO27001)を取得済み。